交通事故で健康保険を使う場合の見落としやすい注意点

国民健康保険を使って交通事故の治療を受けるための手続は難しくはありませんが、普通の治療の場合と違って、健康保険組合に対して次のような書類を提出することが必要です。
①交通事故証明書
②第三者の行為による傷病届(健康保険組合側で用意される)
③事故発生状況報告書
④念書(損害賠償請求権が健保側に移ることに意義がないことを書き記したもの)
⑤示談書の写し(示談が行われた場合のみ)。以上が必要書類ですが、これさえ提出しておけば、後は普通の健保利用の場合と同様の扱いになります。なお示談が成立後も健保治療が必要になった場合の治療費は自己負担分(2~3割)については示談がすんでいるため加害者側に請求することはできませんから、これについては自己負担になります。

交通事故の治療費を被害者が負担した場合には健康保険と自賠責の関係に注意

交通事故の治療費は加害者側が払ってくれることを前提にして治療を受けたものの、場合によっては加害者側が支払を拒絶することもあります。こうした場合は被害者側が治療費を支払うことになるのですが、この場合健康保険と自賠責の関係はどうなるのでしょうか。これはつまりこういうことです。例えば健康保険を使ったケガの治療費の150万円のうち、3割の自己負担分が45万円だったとします。すると自賠責の傷害に対する支払限度額は120万円ですから、45万円を差し引いても、まだ自賠責の費用があと75万円残っているという計算になります。でもはたしてそうなのでしょうか。ズバリ、そういうことにはなりません。なぜなら治療費の自己負担分以外の105万円は国民健康保険によって支払われたのですが、国保側はその後、その金額を加害者側に請求します。この場合まず自賠責により支払を求めますから、自賠責の残り75万円はすべてその請求に回されてしますのです。したがって自賠責には残りがなくなりますから、治療費以外の慰謝料に回す余地はなくなってしまうのです。

交通事故の治療を健康保険で行えば支払い総額が一定の額を超えると超過分が戻ってくる

交通事故の治療の健康保険を使えば、治療費の総額の20~30%の負担ですむだけでなく、支払総額が一定の金額を超えた場合には、超過分が後で戻ってくる制度があります。これは「高額医療費の支給」と呼ばれるもので高額医療費を健康保険で補ってくれる制度なのです。還付される金額については一律ではなく、患者の収入によって差があります。つまり低所得者ほど還付率が高く、所得が高い人ほど還付率は少なくなってきます。この還付率はこれまで変遷してきましたが、現在の決まりは次のようになっています。
高額医療費の還付はみな一律ではなく、患者の所得によって還付額が変わるということについては、上の項で延べました。では実際の所得別還付額はどのようになっているのでしょうか。これについては所得層によって次のような計算式で算出することになっています。

上位所得者

上位所得者とは同一世帯のすべての国民健康保険被保険者の基礎控除後の合計額が年670万円を越える人を言います。この場合の還付額は次の算式で計算します。計算式⇒「15万円+(医療費-50万円)×1%」。

一般所得者

上位所得者に次ぐ層は一般所得者と呼ばれます。この所得者に対する計算方式は次のようになります。算式⇒「8万100円+(医療費-26万7000円)×1%」。

低所得者

最後に住民税非課税対象になっている最も所得が低い層は低所得者と呼ばれますが、この層に対すしては医療費の負担額が決まっており、その額は3万5400円になっています。なお年4回以上の高額治療費を受けた場合の4回目以降の自己負担限度額は、上位所得者が8万3400円、一般所得者が4万4400円、低所得者が2万4600円となっています。

サブコンテンツ

このページの先頭へ